『キャット・イン・ザ・ボックス』のルール&評価レビュー 箱の猫は何色!?カードの色が後で決まる不思議な量子系トリックテイキングゲーム


CAT IN THE BOX(キャット・イン・ザ・ボックス)」は手札の猫(カード)を場に出してボードのマス目を埋めるボードゲームです。

シュレディンガーの猫がモチーフとなっており、手札を出して初めて猫(カード)の色が決まるトリックテイキングゲームとなっています。

ゲームマーケット2020年秋で話題だったゲームがコンポーネントの仕様変更と2人用ルール追加でバージョンアップして販売されました。

商品名
CAT IN THE BOX
プレイ人数
2〜5人
プレイ時間
約30分
価格
2750円
対象年齢
13歳以上

ジャンル
トリックテイキング
デザイナー
横内宗幸(操られ人形館)
イラスト
井上 磨
メーカー
発売時期
2022年7月

CAT IN THE BOXの
お勧めな点

ポイント!手札のカードを出していくだけなので軽いプレイ感ですが、相手の手札を読んだり戦略性もしっかりとあるゲームです。

カードの猫が可愛くボードや駒など細かい部分が凝っています。パラドックスでワッ盛り上がる点もあってかなり楽しめます。

ルールは少し複雑ですが1回遊べばすぐ分かる内容です。短時間でやり応えのあるゲームをお探しの方にお勧めです。

CAT IN THE BOXの
概要と目的

CAT IN THE BOX」は手札からカードを出してボードを埋めるゲームです。各自1枚ずつカードを出すと1トリック(1ゲーム)が完了します。

1トリックごとに色や数字の強弱を判定し、一番強いカードを出した人が得点を獲得します。 各色、出せる数字は埋まっていきます。

色が重要なゲームですが、手札の時点ではカードの色は決まっていません。場にカードを出して初めて色が決定するのが特徴的です。

カードが出せないと「パラドックス」が発生します。パラドックス」を起こすと得点が減るので、起こさないように立ち回ります。

トリックとラウンドを繰り返し、人数分のラウンドが完了したらゲームは終了です。最終的に合計得点が一番高い人の勝利です。

世界観とゲーム性がマッチ!

黒を基調とした外観や少し無機質な表情の猫カードがシュレディンガーの猫の世界観とマッチしています。

思考実験がテーマだけあって、論理的な数字の読み合いや駆け引きに没頭させてくれます。狙い通りトリックに勝てると気持ち良いです。

パラドックスを巡る緊張感!

パラドックスの制限がよくできていて、誰かが無理して場を荒らさないように抑えてくれます。パラドックスと切り札の悩ましさが絶妙です。

パラドックスはデメリットしかないため、回避する必要があります。ただし、枚数的に毎回パラドックスが起きそうでドキドキします。




CAT IN THE BOXの内容物

トークンが多いですが、箱にインサートが付いていて綺麗に収納可能です。トークンやカードがバラバラにならないのは助かります。

こういう拘りは地味に嬉しいポイントです

ゲームボードや実験結果シートがちょうど収まるように形が工夫されています。ピッタリ収納できて片付けも気持ち良いです。

CAT IN THE BOXの
内容物詳細

  • 説明書:2部(日本語、英語)
  • カード:50枚
    • 猫カード:45枚
    • 研究カード:4枚
    • ラウンドスタートプレイヤーカード:1枚
  • プレイヤーボード:5枚
  • 研究ボード:1枚
  • プレイヤートークン :60個(各色12個)
  • 調査済トークン:4個
  • 実験結果シート:1冊


CAT IN THE BOXの準備

今回は4人プレイを例として説明します。2人の場合はルールが少し変更となるため、別項で説明します。

猫カードの準備

プレイ人数に応じた猫カードを準備します。使わない猫カードは混ざらないように箱へ戻して下さい。

人数
使用する数字
使用枚数
配布枚数
2人
1〜5
25枚
10枚
3人
1〜6
30枚
10枚
4人
1〜8
40枚
10枚
5人
1〜9
45枚
9枚

猫カードにはプレイ人数アイコンが表記されています。 何人プレイで使用する猫カードか分かるようになっています。

研究ボードと調査済トークンの準備

プレイ人数に応じた 研究ボードと調査済トークンを準備します。組み合わせは下表を参考にして下さい。

人数
研究カード
調査済
トーク
置く場所
2人
置く
6の数字
3人
白または紫
置かない
-
4人
白または紫
置く
9の数字
5人
置かない
-

研究カードの白または紫の面を研究ボードに差し込み、調査済トークンを置きます。研究カードの面は数字の周りの色で判断して下さい。

紫というより青に見えますが、紫らしいです

初めてプレイする方には白の面がお勧めです。シンプルな並びのため、後述する勝利予測ボーナスが狙いやすいです。

紫の面は数字がズレて上級者向けの仕様です。勝利予測ボーナスのためにトークンを隣接させるのが難しくなっています。

ちなみに研究ボードの裏面には穴が空いており、研究カードの抜き差しが簡単にできます。細かい点まで工夫が凝らしてあります。

プレイヤーボードとトークンの準備

各自、プレイヤーボードとトークンを受け取ります。プレイヤートークンは1人1種類で同じトークンを12個全部受け取ります。

プレイヤーボードは裏表の両面仕様になっています。左下のプレイ人数表記を参考にして使用する面を決定します。

2〜3人の場合無難な「2」の予想ができません

プレイヤートークンを4つ「✕」の上に置きます。「✕」は対応した色がないことを表すので、プレイヤートークンで隠します。

スタートプレイヤーの決定

最近、猫と遭遇した人がスタートプレイヤーです。ラウンドスタートプレイヤーカードをもらい、自分の前に置きます。

実験結果シートの準備

実験結果シートに各プレイヤー名を記入します。実験結果シートの代わりに携帯電話等で得点をメモしても構いません。

以上で準備は完了です。



CAT IN THE BOXのルール

CAT IN THE BOX」のラウンドは3つのフェイズに分かれており、下記の手順で進めます。ラウンドはプレイ人数分行います。

準備フェイズ

猫カードの配布と選択

猫カードをよく混ぜ各自に同じ枚数配布します。配られた猫カードは他の人に見えないように手札にして内容を確認して下さい。

各プレイヤー同時に猫カードを1枚選んで裏向きで伏せます。基本的にはパラドックス回避のため、枚数の多い猫カードを伏せます。

この時、同じ数字が伏せられると必ずパラドックスが起こります。ただし、何の数字を伏せたかはラウンド終了後しか確認できません。

勝利予測を行う

スタートプレイヤーから 時計回りに各プレイヤー勝利予測を行います。予測した勝利数の上にプレイヤートークンを置きます。

トリックフェイズ

猫カードを公開する

順番に猫カードを公開し「色の観測宣言」を実施します。 猫カードはプレイヤーボードの指定した色の辺に配置します。

指定した色と猫カードの数字へプレイヤートークンを研究ボードへ配置します。研究ボードが徐々にプレイヤートークンで埋まります。

トリックの最初に観測宣言した色が「基準色」となります。基本的には2番目以降の人も「基準色」を中心にプレイすることになります。

数字が全て埋まった色は全員「✕」になります。全てのプレイヤーボードからプレイヤートークンを取り除きます。

取り除かないとプレイヤートークンが不足します

色の観測宣言のルール

①宣言する色の数字に空きがある

公開した猫カードの数字の枠に空きがある色が観測宣言可能です。猫カードの数字が全ての色で枠に空きがない場合は出せません。

②宣言する色が「✕」でない

プレイヤーボードの宣言する色に対応する箇所が「✕」でない必要があります。プレイヤートークンの有無で判断して下さい。

③最初から「赤」を宣言できない

スタートプレイヤーは最初から「赤」の色を宣言することができません。「赤」は特別な色で皆の切り札になります。

自分や他の誰かがすでに切り札として「赤」を使用して「赤」にトークンがある場合は宣言可能です。

また、猫カードの数字がどれも「青、黄、緑」の色で埋まっており、手札が「赤」しか置けない場合は宣言可能です。

④2番目以降は「赤」を宣言可能

①と②のルールを満たしていれば2番目以降は全ての色を観測宣言可能です。いきなり「赤」を宣言することも可能です。

ただし、「基準色」以外の色ならプレイヤーボードの基準色のプレイヤートークンを取り除きます。以降、「✕」になった色は宣言できません。

基本は「基準色」の空き数字が手札にないか切り札の「赤」を使用する場合に行います。無闇に「✕」を増やすとパラドックスの危険性が増します。

トリックの勝利判定

各自1枚ずつ猫カードを公開したらトリックの勝利判定を行います。一番強いカードの人がトリックに勝利します。

猫カードの強弱の判定方法

猫カードの強弱は「宣言した色」→「数字」の順に判定します。全てのプレイヤーが同じ色なら「宣言した色」の判定は行いません。

「宣言した色」の判定方法

色の判定は「赤 > 基準色 > その他の色」になります。弱い色の人は数字の判定を行いません。

「赤」が全ての色の中で一番強い色となります。「基準色」より優先されるため、切り札として使用します。

「赤」と「基準色」以外の色は一番弱い色となります。上の色の方が優先度が高く、強いと勘違いしやすいので気をつけて下さい。

「数字」の判定方法

色の強さが同じ場合、数字の判定を行います。数字の大きさを比較し、一番大きい数字を出した人が勝利となります。

トリック終了後の処理

トリックの勝者は場の猫カードを全て集め、皆の猫カードを自分の前に裏向きで置きます。猫カードの山の数が勝利数を表します。

次のトリックは勝者からスタートになります。このルールにより連続してトリックに勝利することも可能です。

トリックフェイズの終了

手札が残り1枚になるまでトリックを実施します。手札を1枚残して得点フェイズに進みます。

トリックフェイズの途中でパラドックスが発生した場合も終了し、得点フェイズに進みます。

パラドックスの発生

手札の猫カードが全て観測宣言のルールを満たさず、研究ボードにプレイヤートークンが置けない状態がパラドックスです。

プレイヤーは手札を公開してパラドックス発生を宣言します。観測宣言可能な猫カードがあった場合はそのカードを出して続行します。

パラドックス発生時は勝利判定をせず、トリックがその場で終了します。トリック中に置いたトークンはそのままにします。

パラドックスをわざと宣言する事はできません。手札に観測宣言可能な猫カードがあるなら必ずプレイする必要があります。

得点フェイズ

トリックの得点と勝利予測ボーナスを合計します。実験結果シートや携帯などに今回のラウンドの得点を書き留めて下さい。

トリックの得点

トリックの勝利数1回に付き「1点」を獲得します。勝利の際に集めた猫カードの山を数えて、勝利数を確認します。

パラドックスを発生させた人にはペナルティがあります。パラドックスの人は山1つに付き「-1点」になります。

勝利予測ボーナス

勝利予測を当てた場合はボーナスを獲得できます。パラドックスを発生させた人は当たっても勝利予測ボーナスは獲得できません。

勝利予測を当てた人は上下左右に隣接するトークンを数え、そのうちの最大数が得点になります。斜めは隣接していると見なしません。

次ラウンドの準備

研究ボードのプレイヤートークンを回収します。各自のプレイヤートークンを手元に戻して下さい。

プレイヤーボードのトークンも回収して再配置します。プレイヤーボードの「✕」にトークンを置き、次のラウンドの準備を行います。

ラウンドスタートプレイヤーカードを左隣へ渡します。スタートプレイヤーがゲームを主導するので、トリックに勝利するチャンスです。

ゲームの終了条件

準備フェイズ〜得点フェイズを繰り返し、プレイ人数分のラウンドでゲーム終了です。勝利判定に移ります。

勝利判定

全てのラウンドの得点を合計し、最終的に合計得点が一番高い人の勝利です。

合計得点が同じ場合は最終ラウンドの得点が一番高い人の勝利です。 更に同点ならそれ以上の比較はなく引き分けとなります。



2人用の追加ルール

2人で遊ぶ場合は準備フェイズだけ少しルールが変わっています。猫カードを各10枚配り、残り5枚を中央に並べます。

5枚のうち3枚をめくり未使用のプレイヤートークンを緑列に置きます。同じ数字が出た場合は緑→黄→青の順に配置します。

勝利予測は行わず、トリックの勝利数が4回以下なら勝利予測成功とし、ボーナス得点を獲得します。

他のルールは変更がなく、通常プレイと同じように進行します。

CAT IN THE BOXにお勧めなスリーブ

CAT IN THE BOXのカード枚数

カード枚数は合計で50枚です。

  • 猫カード:45枚
  • 研究カード:4枚
  • ラウンドスタートプレイヤーカード:1枚

カードサイズ

CAT IN THE BOX」のカードは「63mm×89mm」のレギュラーサイズです。カードは全て同じサイズとなっています。

全てのカードにスリーブを付けた場合、黒色のスペーサーは抜かないと入りません。スペーサーを抜けばスリーブをつけても入ります。

スリーブに入れろと言わんばかりのジャストサイズ

お勧めのスリーブ

お勧めのスリーブはソフトタイプならエポック社のスリーブ「66mm×92mm」です。

エポック社 カードスリーブ(ソフト) 110枚入

箱など気にせずハードタイプに入れたい方はホビーベースのスリーブ「66mm×91.5mm」がお勧めです。

▼ホビーベース T.C.G.ハード 50枚入



CAT IN THE BOXのレビュー

独特なプレイ感と戦略性


勝利予測から相手の手札が読めるため、早めに攻めるか、切り札をいつ切るかなどしっかり戦略を考えてゲームを進める必要があります。

色が後から決まるというのが他のトリックテイキングにない要素で楽しいです。トリックテイキングの新たな定番となりそうです。

パラドックスが盛り上がる!


パラドックスが不可避の場合でも他の人が先にパラドックスになることもあります。パラドックスが発生したときは場が盛り上がります。

パラドックスを発生させたくないため、場が荒れず絶妙なバランスで場が進行します。切り札を使うタイミングも非常に重要になります。

最後に


最初は難しいと思ったのですが、遊んでみるとシンプルでサクサク遊べます。コンポーネントの細かい点や収納がよくできている点も高評価です。

運要素もほどよくあって短時間でプレイできるため、トリックテイキングが好きな方や初心者の方にお勧めのボードゲームです。

メリット
・手軽だけどやり応えバッチリ
パラドックスの緊張感がクセになる
コンポーネントが工夫されている

デメリット
・カード運が悪いと勝てない
・逆転要素は少ない